マイクロ波を用いたバルクセラミックス焼成に関する研究

 これからの社会を支える基盤技術として,集積回路技術や情報通信技術(Information and Comunications Technology: ICT)がよく取り上げられてきました.しかし,シリコンなどの半導体からなるトランジスタだけでは電子回路は作れません.また,優れたソフトウェア(プログラム)だけでは情報を処理することもできません.

 Play Station2などのゲーム機の中にも,たくさんの半導体集積回路が入っていることはよく知られています.しかし,基本的な電子部品である抵抗,コイル,コンデンサなども,実は非常に多く使われているのです.(図1)このコンデンサなどは『電子セラミックス』と呼ばれるもののひとつで,わずか数ミクロン(千分の1ミリ)の厚さのセラミックスと金属とを何層も積み重ね,焼き固めて作られています.(図2)

マザーボード マザーボード拡大図

図1 コンピュータの電子回路基板と多く使われているセラミック部品


セラミックコンデンサ セラミックコンデンサ断面

図2 セラミックコンデンサの外観と断面写真


 私たち人類は,旧石器時代から現代に至るまで,常に“新たな材料を創りだす”ことで,新しい技術を生み出してきました.電子セラミックスの技術は,コンピュータや携帯電話などの電子回路だけではなく,ガス漏洩検知器やガソリンエンジンの燃焼制御用のセンサ,インクジェットプリンタのヘッド,デジタルカメラのズームやオートフォーカス機構,ディーゼルエンジンのインジェクタといったように,さまざまな分野に広がっています.(図3)

プリンタヘッド プリンタヘッド拡大図 プリンタヘッド断面

図3 インクジェットプリンタのヘッドに使われている電子セラミックス


 多くの電子セラミックスは,1,000℃程度の高温に保たれた炉の中で焼き固めらます.この方法では熱が周囲から伝わっていくため,焼結時間が長くなります.それに対して電子レンジなどに用いられているマイクロ波を使った加熱方法は,対象物自体が発熱するために加熱が迅速であり,省エネルギーの観点からも注目されています.

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